本年2022年は私にとって過去になく印象深いものとなりました。
一般的に年が明けると、「さあ今年は……」のように何かしら気持ちを入れ替えたり切り替えたりするものと思います。でも私にはそのようなことは何もありませんでした。年が明ける、すなわち「時の進み」は焦り以外の何ものでもなく、大きな気持ちの落ち込みにしかなりませんでした。
と言うのも、2014年に神経系の難病を発症し、四肢麻痺、車イス生活の身体障害者になってから自分の身体の回復を目指しリハビリだけに専念していました。しかし、ほとんど回復しないままいつの間にか8年もの時が過ぎていたからです。
そのような状態で無為に毎日を送ることに不安と嫌気が差し、自分だけではどうにも出来ないとするところで出会ったのが「就労支援」でした。
⇒※以下【ご参考 コラム①】
病気の発症以降ずっと無職であり、身体障害者等を専門の対象とする就労移行支援事業所である「脳卒中・身体障害専門就労支援センターリハス」との出会いは衝撃でした。それまで 考えていなかったに等しい、「仕事をする」という目標を持つことが出来たのです。
⇒※以下【ご参考コラム②】
ところがそれから半年余りが過ぎ、就労訓練に慣れるほど当初想像していなかった思いを感じ始めることになりました。
訓練に慣れることはいいのですが、次第に「これは何のためか」「自分がどこに向かっているのか」と分からなくなることになりました。
就労を目指し、それに向けて「訓練」に慣れることはいい。でも「本当の仕事」にはどこか不安を感じるという相矛盾する思いを持つことになったのです。
こちら については、就労支援先の担当の方と率直に話し合うこと、また、自身の仕事に対する考え方を見直すことで幾分解消出来ました。
⇒※以下【ご参考コラム③】
ただ、これら はまだ途上です。今後も就労支援を受けながら更に追求すべき重要な課題と考えています。
また、 就労訓練に慣れることで自身の身体上の弱点にばかり目が行き苦しむこともありました。
ここでの弱点とは、病気で神経の損傷から来ていると思われる体幹の弱さ、車イス座位での姿勢の保持の脆弱さです。そのため姿勢が安定せず、机に着きパソコン操作の訓練を続けることに苦痛を感じるようになったのです。
しかしこれは感じ方の程度こそ違え、元々就労支援を受け始めた当初からあったはずのものでした。その時 にしてどうして苦痛を感じるようになったのか、当初とその時 とで一体何が変わってしまったのかと考えました。
先にも触れた通り就労支援を受ける前までは、自身の身体の回復のためにリハビリだけを生活の主とし、他に何もしていない状態でした。ところが一転、就労支援を受け始めた当初は全てに驚きと目新しさがあり「その時楽しければいい」としていたのだと思います。これらにより、当初からあった自身の弱点を自分の中で覆い隠していた のだと思います。
これから本気で「就労」を目指すのです。訓練に慣れるにつれ、それを果たすために乗り越えなければならない高い壁が迫ってくるように思えることがあります。正直なところ、それにより当初の意気込みの減退を感じることもあります。
就労支援を受け始めた当初とその時 とで変わってしまったのはこの部分が大きいと思います。ここには、以前 普通に仕事をしていた頃から離れてブランクが大きいこと、当時から身体の状態が大きく変わってしまっていることによる不安もあります。
身体障害者になって身体の状態にそれ以上の回復が見込めないと「前向きに諦めて」から色々考え、自分を立て直すには「仕事しかない」と心に決めたはずでした。ところが、ごく僅かでもそれを現実化させると思えるところで戸惑うのはおかしな話です。
結局これは「甘え」そして「現実逃避」なのだと思います。目を向けるべきはもはや変えられない事実ではなく、これから変えることの出来る「未来」であるはずです。
先に触れた身体的な弱点を補うために環境を整備する ことは必須の課題でした。これは先日、私自身の工夫と、私を支援してくださっているケアマネジャーや福祉用具担当者、就労支援 員たちと皆で知恵を出し合うこと(担当者会議の実施)で現時点における最善と出来る対策を施すに至りました。ここで実際に行った担当者会議の成果をお伝えします。
■担当者会議前の様子
左手のところにハンドルを置きそこに掴まる形で作業するも、肘が落ち、左に身体が傾きやすい状態となっていました。また、資料も右側に置いてあり目線も右側に寄ってしまっていた。しかし、この環境が当たり前になっており、身体が傾きについてはリハビリなどで改善するしかないと思い込んでいたのです。

■担当者会議後の様子
色々な業種・職種の方の人と意見を出し合うことで自分の中で当たり前すぎて気付けなかった改善点に気付く事ができ、あんなに思い悩んでいたことからあっという間に解放されました。


この経験は、一人で悩むだけでなく、周囲と相談し合うことの大切さを知る貴重な事案となりました。
このような経緯を経ながらも、これから先に待っている「本当の現実」から目を逸らすことは出来ません。自分自身で考えることはもちろん、周囲に相談を持ち掛けながら前に進むことも大事になると思います。
冒頭から触れているように、落ち込んだり立ち直ったり、この繰り返しでは何も前に進みません。
間もなく年越しを迎えるにあたり、今の私に必要なものは何よりも先ず様々な環境整備、また、現実に立ち向かう「勇気」 と捉えています。
そして今年一年をよく振り返り、来るべき来年とその先、そして自身の成長と発展 に向けて気持ちを新たにしたいと思います。