


ご利用者様の声
リハスから就職された方の、事例を紹介しています。
interview _ vol.04
社会との交わりを求めてリハスをスタート。今では外出する機会も増えました
M.Hさん(脳内出血)
2021年9月よりご利用

居酒屋を開業して10年目に脳内出血を発症、左半身不能に
私はもともと長野県出身で、大学進学を機に石川県へやってきました。大学卒業後は、県内の酒造会社へ入社し、冬場の酒造りから商品開発、広告宣伝業務、営業などに従事し、39歳の時に、取締役営業部長に昇進しました。
その後44歳で一大決心をして退職し、金沢市内で居酒屋を始めました。しかし、開業から10年目を迎えた54歳の秋、自宅で脳内出血を発症し、左半身不能になったのです。
それでも自宅退院後、またカウンター4席のみの小さな居酒屋を開業しました。しかし3年が過ぎた頃、今度は階段から転倒してしまい、閉店を決めました。
現在は専業主夫となり、妻との晩酌を楽しみに暮らしています。
旧知の酒屋さんおすすめのお酒を仕入れ、近江町市場まで歩いて季節の魚を仕入れ、買ったお酒に合う肴を自分で作っています。
北陸の事業所ならではの、送迎サービス
そんな私がリハスに通うきっかけとなったのは・・・。
2021年7月、北陸中日新聞を読んでいると「脳卒中や身体障害の方を専門とする就労移行が出来る」という記事を見つけました。
当時の私は、専業主夫として一日を過ごしていましたが、「何か活動しなければ、今と何も変わらない」と思いも強くあり、さっそく脳卒中・身体障害専門の就労移行支援センター「リハス金沢」に、問合せメールを送りました。
メール送信後、すぐにスタッフの方から連絡があり、自分の状況を細かく伝えました。その頃はちょうど、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めている時期。「コロナの感染状況が落ち着いたら、ぜひ見学させてください」と、答えたのを覚えています。
石川県の感染状況が落ち着いてきた9月、見学に行きました。見学の時には、送迎サービスを使わせていただきました。
見学だけでは物足りず、何度か体験にもトライしました。
専業主夫にも慣れてきた頃だったので、1日のうち2時間前後の余裕がありました。
そこで、もう少し社会との交わりを増やしていきたい。働くことで少しでもお小遣いが増えればいいなと思い、通所することにしました。
身体に障害がある者にとって、外出はもちろんですが、人込み・段差・悪天候時などに不安や不便さを感じます。なので送迎があることは大きなポイントでした。
自宅前まで送迎があるため、不安が全くなくスタートできるところ。
また、専業主夫と兼務できるよう、通う日数や曜日・時間をスタッフの方が理解して調整してくれたこと。こられも通所を決めた理由です。

リハス金沢は、石川県はもちろん、北陸エリアでは初となる脳卒中・身体障害専門の就労移行支援事業所です。ご自宅や指定の場所から事業所まで送迎を実施しているので、バスや電車の本数が少ない、あるいは雨天や降雪時でも安心して通所することができます。 完全在宅での就労訓練や、通所と在宅の併用も可能となっています。 |
週2回の通所以外は、自宅での訓練
私は自分自身のリハビリもかねて、週に2日、徒歩と電車で通っています。北陸は天気が変わりやすく、雨や雪も多いのですが、そんな時には、リハスの送迎を利用できるのは、本当にありがたいです。
リハスに通わない日は、自宅で宿題に取り組んでいます。
水曜と金曜日の通所日は、10時30分から15時くらいまでリハスで訓練しています。
月・火・木の3日間、時間があれば自習として土日も自宅で訓練しています。時間は一日2時間ほど。通所も自宅の訓練もあらかじめ1ヶ月のシフト表を提出しますので、それに沿って行って進めています。
私は具体的にまだ、どんな職業を目指すのか、どんな職業なら出来るのか定まっていません。それに立ち仕事や身体を使う仕事は難しいと思い、パソコンの訓練を選びました。
文字を早く打つことや知らなかった機能を覚えるのに苦労していますが、自宅や経営していた居酒屋ではずっと自己流でパソコンやタブレットを使っていたので、リハスでちゃんとした使い方、特にMicrosoft Officeについて詳しく学ぶつもりです。
休憩をとりながら、パソコンを使って少しずつスキルアップ
パソコンの具体的な訓練内容は、
・最初はローマ字の入力の練習
・見本の文章を正しく入力
・案内文のようなものを作成
・簡単な数字の入力からパソコンを使った計算
・手書きがたくさん書かれた伝票の項目を入力
・時間の計算や日付のチェック
・単語の並べ替え・・・など
第一線の事務職を目指すわけではないので、WordもExcelなど色々な課題に対しても、早さではなく正確性を意識しています。
今、自宅ではMOSやExcelの勉強をコツコツやっています。

今まであきらめていたことや、今まで知らなかったことなど、少しずつでよいのでスキルアップしていこうと思っています。
新たなPCの機能を知ることが出来たり、繰り返し使っていくことで覚えたり、入力や課題が終わったあとの確認を自分でしっかりできるようになったことなど、自分でも成果を感じています。
毎日の訓練を通して、自分自身では気づかない成果や変化をスタッフの方が伝えてくれます。その評価が自分の自信につながっています。
訓練で1時間くらい同じ体勢でいると、疲れて身体が硬直してくるのが分かります。その時は小休憩を取って体操をしています。この体操は、リハスのスタッフやリハビリの先生が教えてくれたことを意識して、自分でアレンジしました。
この休憩をとるタイミングも、自分がどの程度続けて働くことができるのかを知るよい機会にもなっています。
リハスは、社会との交わりの一つ
私だけでなく、ほかのご利用者さんたちもそれぞれ、スキルアップを目指してがんばっていらっしゃいます。
ほかの利用者さんとお話をすると、働くことの目標や目的は人それぞれだなと感じます。
とにかく焦らずじっくりと、2年間かけて何かできることを探していこうと思っています。私にとって、社会との交わりの一つが「リハス」なのです。
どんなに若く元気であっても、歳を取っていくことに抗えません。
何もしなければ何も変わらないし、何かをすれば何かが変わります。元気だったころの自分と比較していると落ち込んでしまうこともあるかと思います。「出来ない、出来ない」を言い訳にしていては、これから先を何にも出来ないまま過ごしていくのではないでしょうか。「何もできないから、何でもやってみる!」そんな気持ちが大切です。
以前の私は、外出することが億劫でした。曇っていたり風が強かったりすると、それを理由に外出を避けていました。でも、今は外出する機会が増え、リハスの週2日の通所もあわせて、一週間のうち5日は外出しています。もちろん、曇りの日もです。
ただじっとしているだけの人はぜひ「勇気」を持って踏み出してほしいですね。今より、ほんの少しでも豊かな人生が切り開けると思います。
「リハスに通うようになってから、晩酌がぐっと美味しくなったよ」と、妻も言ってくれています。
リハス金沢のスタッフより

ご本人は好き嫌いが激しい性格だと言われますが、酒造会社の営業や居酒屋での経験があるので、初対面の方でも気さくに接しておられます。
Hさんの性格やこれまでのご経験、そしてこれから一緒に、リハスで身に付けたスキルが活かされる就労先を見つけていきましょう。